家の価格はどうなるの?孤独死物件の売却に影響する告知義務の考察|㈱HGCエステート
2023/12/04
「持ち主が家の中で病死したら、その家の価格は下がるよね?」
一般的に考えて、その家で殺人があったり、自殺があれば、買うことを避ける人が多いと思います。
″買い手が少なければ家の売却価格が低くなる″というのは簡単に想像がつくことでしょう。
では、一人暮らしの家の中で死亡した死因が、病死や老衰だったらどうなるでしょうか?
【結論】一人暮らしの病死・老衰が死因だけで、査定価格を下げることはありません。
しかし、実際にあなたは、家の中で人が死んでいた家を、他の家と同じように購入はできますか?
不動産の査定をするときに、「孤独死」が死因となったときに実際に考える視点で解説していきます。
「孤独死」が売却価格に与える影響のポイントはココ!!
まず先に、「孤独死」を死因とした不動産の査定価格への影響は、次のことをポイントとします。
・推定される死亡日から、遺体が発見されるまでの期間。
・遺体の腐敗などにより、臭気や害虫の発生がないか。
具定例としては・・・
①死亡から発見までが短く、遺体の腐敗などもない→査定価格に影響なし
②死亡から発見までは2~3日だが、夏季のため遺体の腐敗が進んでいた→査定価格に影響あり
③死亡から発見までは1ヶ月経過していたが、冬季のため遺体が腐敗していない→査定価格への影響は微妙
④死亡から発見までの期間は短いが、自宅で長く闘病生活をしてきた→査定価格に影響なし(ただし、販売期間の長期化などは想定が必要)
主にこのような視点を組み合わせながら、「孤独死」が死因の不動産価格は査定されることになります。
孤独死が影響した家の査定価格はどのくらい下がる?
ここを読んでいただいている一番の目的は「実際にいくら下がるの??」ってことでしょう。
「孤独死が売却価格に与える影響のポイントはココ!!」の章でも書いたとおり、査定価格に与える影響はまちまちであるのが実情です。
とはいえ、実際に家の価格を査定しているのですから、″実例から査定価格がどうなったのか″を書いておきたいと思います。
(査定物件の状況)
マンションの一室で持病の悪化で孤独死。
夏季の病死であったため放置期間が長く遺体が腐乱し、外にも臭気が漏れたことによって発見された。
→周辺事例価格の50%まで減額して提示。
(査定根拠)
マンションは比較的消臭がしやすいものの、すでに近隣居住者へ広く知られており、印象が悪化しています。
後日、購入者が近隣居住者から知らされる情報を考慮に入れて、「自殺や殺人の際の告知義務に相当」すると判断しました。
(査定物件の状況)
戸建内の玄関で倒れて病死による孤独死。
放置期間は数日だったものの夏季のため腐敗は進んでいたため、住宅内の臭気はかなりありました。
→周辺事例の70%まで減額して提示。
(査定の根拠)
近隣には詳しい状況が知られていなかったので、悪印象は少ないと判断しました。
しかし、住宅の再利用は難しいために建物解体は必要と見込んでいます。
特に木造戸建は臭気を抜くのが難しく、土地建物として売却するのは現実的ではありません。
実質の査定価格が土地の価格と同等となったとの考えです。
重要事項の告知義務ではない「孤独死」という死因
不動産の取引では、買主に対して伝える必要のあることを「告知義務」といいます。
この告知義務には建築上や敷地内の問題点などが該当します。
さらに、その不動産上で起きた殺人・自殺・事故死なども含まれ、これを「心理的瑕疵(しんりてきかし)」といって、告知義務となっているのです。
告知義務がある場合には、以後のトラブルを避けるため、基本的には書面にすることと指導されています。
告知義務項目が多いということは、それだけ対象不動産に問題点が多いともいえます。
ということは・・・
購入者が少ない → 価格を下げないと売れない
こうゆう結論になるのです。
特に「心理的瑕疵」という人の死に関することは、価格を下げる要因になりがちです。
国土交通省の「不動産取引における心理的瑕疵に関するガイドライン」では、
「とりわけ住宅として用いられる不動差において、殺人、自殺、事故死など、人の死が発生した場合が心理的瑕疵として問題になる」
「過去の裁判例に照らせば、事案発生からの時間の経過、事案の内容、取引目的、近隣住民の周知の程度等を考慮して、信義則上これを取引の相手方に告知すべき義務の有無が判断されている。」
ということを元に判断することになります。
ガイドライン内には「自然死が発生した場合」という項目があり、告知義務としての判断のひとつの目安が書かれています。
・老衰、持病による病死など、いわゆる自然死については、そのような死が発生することは当然に予想される。
・裁判例においても、自然死について、心理的瑕疵への該当を否定したものが存在し、買主・売主の判断に重要な影響を及ぼす可能性は低い。
・ただし、過去に人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置されていたこと等に伴い、室内外に臭気・害虫等が発生し、いわゆる特殊清掃等が行われた場合においては、告知を要する。
とされています。
つまり、「ケースバイケースで判断してね」という抽象的な書き方になっているのです。
「孤独死」があったら道義的な責任として告知する必要はある
国土交通省のガイドラインにも書かれていますが、自宅での死亡原因の9割が自然死となっています。
乱暴な表現を使えば「よくある話」というわけです。
ですので、法律に照らし合わせる「心理的瑕疵の告知義務」となると、「孤独死は告知義務ではない」と解釈もできますよね。
しかし、家を買うときには「人の死」は気になるものです。
なので、孤独死があった場合は、死因や経過に関係なく“告知はする”というのが原則です。
ただし、書面に残す、例えば「物件状況報告書への記載」については、買主との協議によることになることも多いのです。
・死亡から発見までが短く、遺体の腐敗などもない。
・死亡から発見までの期間は短いが、自宅で長く闘病生活をしてきた。
このような査定価格に影響のないケースでも「告知はすべき」ということが一般的です。
査定価格には影響なくとも告知すべきケースは、販売を開始してから成約価格での交渉が必要になることが考えられます。
″孤独死の死因への反響が大きかった場合は対応が必要″と考えておくべきです。
価格の査定ポイントは相続財産管理物件では見落とされがち
「孤独死」が死因となった場合には、身寄りがないために相続人がいないこともあります。
その場合には弁護士などが裁判所から相続財産管理人に選ばれて、住宅などの財産を売却することになるのですが、査定価格のポイントになる部分が重要視されないケースがあるので注意しましょう。
・死因が何であったか?
・死亡の推定日から遺体発見までの期間
・遺体の腐敗状況
少なくとも、この3点は把握した上で価格の査定をすることが必要になります。
このことを知らずに査定価格が提示され、販売を開始してから近隣の話が耳に入って、状況が全然違うということにならないようにしてください。
大幅な価格の減額や売却ができないといったことにも繋がりかねません。
「孤独死」物件の成約条件として必要なこと
孤独死物件は、すでに所有名義人が死亡しており、同居していたものもいません。
当然ながら、住宅の修繕履歴や不良状況、敷地の取得経過などもわかりません。
不動産業者での調査も限界がありますので、その点を考えた売買契約書の作成が必要です。
具体的には・・・
・契約不適合責任の免責
・現状有姿での引渡し
・付帯設備表・物件状況報告書の作成の省略
といったことが必要になります。
付帯設備表については目視でわかるものもあるので作成はできますが、動作不良までは確認できないことも多いので、「故障の有無」を不明にしておくことが必要です。
その上で、付帯設備表に基づく損害賠償や減額・相殺などを適用しないことを買主に伝えておくことも大事になってきます。
家の価格はどうなるの?孤独死物件の売却に影響する告知義務の考察 まとめ
・「孤独死」の家の査定で価格に影響するポイントは、「死亡から発見までの期間」「臭気などの有無」の2点です。
・査定価格には影響がなくとも、告知が必要なケースもある点を考慮します。
・孤独死を死因とする住宅の売買では、売買契約の内容にも考慮が必要になります。
----------------------------------------------------------------------
株式会社HGCエステート
〒060-0003
住所:北海道 札幌市中央区 北三条西 3-1
電話番号 :011-200-7712
札幌市の土地売却をサポート
札幌市の戸建ての売却も支援
札幌市でマンション売却に尽力
札幌市で買取サービスもご案内
----------------------------------------------------------------------